糖尿病・肥満と運動 その3

食べた食事が筋肉にエネルギー源として蓄えられるか
それとも
食べた食事が脂肪としてたまってしまうか
この運命の分かれ道を決めるのが運動です。

では、どの様に運動すればよいのか?

あまりきつくない、けれども汗はにじむという程度の軽い1時間の運動を週に3回、10週間続けると、同じ量のインスリンでの血糖値の下がり方が大きくなる(インスリンの感受性が改善する)。

これは、30年ぐらい前に糖尿病の運動療法の根拠になった古典的なデータです。

このデータが出てから20年ぐらい経って、具体的に何がどうなるのか詳しい仕組みが明らかににされました。

重要なのは、筋肉をガス欠に追い込むことなのです。

筋肉内の燃料をすべて燃やしきってしまうと、筋肉の中には“燃えかす”の様なものが出来ます。そしてこの“燃えかす”を処理するために起こった反応がきっかけとなって、糖分吸い込み装置の数が増えるのです。

激しい運動をすると、筋肉内では不完全燃焼がおこってしまい、燃料を燃やしきることができません。また散歩程度では運動量が少なすぎるので、この場合も燃料を燃やしきることはできません。しかしながら、1回1時間の適切な運動(軽いジョギングや水泳)を週3回続けるのは大変です。

要は、燃料を燃やし切ればよいのです。だから燃料の少ないとき、つまり起きてすぐに水分だけをしっかり摂って30分散歩すればよいのです。これなら週2回で効果が出ます。3ヶ月をめどに頑張りましょう。

つけたし
ここから先は、さらに興味のある人向けです。

食事は基本的に“食べだめ”になっています。そして基本的な貯蔵庫は肝臓筋肉脂肪です。

メインの貯蔵庫は肝臓です。体中の組織に必要な分だけ糖分を放出しています。具体的には血糖値が下がりすぎないように、血糖値の低下に対して糖分を放出しているのです。

また糖分を摂らずにタンパク質だけを摂っているとカロリー制限になると信じている人がいます。しかし人間はタンパク質の元になるアミノ酸を貯蔵することはできません。したがって余ったアミノ酸はすべて糖分に変換されます(これも主に肝臓が行っています)。つまりタンパク質をたくさん摂りすぎると糖分をたくさん摂ったことになるのです。

さらに詳しいことを知りたい人は

糖分吸い込み装置=Glut4(ブドウ糖輸送体4)
燃えかす=AMP
ですので、検索してみてください。

この項 終わり

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