糖尿病・肥満と運動 その2

食べた食事が筋肉にエネルギー源として蓄えられるか
それとも、
食べた食事が脂肪としてたまってしまうか
この運命の分かれ道を決めるのが運動なのです。

食事をすると栄養分が吸収されて血液の中の糖分(血糖)が増えます(血糖値が上がる)。これを察知した膵臓が血液の中にインスリンというホルモンを分泌します。ホルモンとはお知らせのメールの様なものです。さて分泌されたインスリンは体中を血液と一緒に循環します。つまりインスリンが全身に配信されるわけです。するとこのインスリンメールを受け取った筋肉と脂肪が血液の中から糖分を吸い上げます。その結果血糖値が下がるのです。

筋肉や脂肪以外の組織の活動量はそれほど大きく変化しません(例えば脳などは寝ているときも休憩しないで活発に働いています)。だからインスリンの分泌とは関係なく、血液から糖分を必要な分だけその都度吸い上げているのです。
一方、
筋肉は激しい運動に備えてエネルギーを蓄えておき、
脂肪は将来の飢餓に備えてエネルギーを蓄えておくのです。

では筋肉や脂肪は、どのようにして糖分を血液から吸収するのでしょうか?
筋肉や脂肪の細胞は、内部に糖分の吸い込み装置を持っています。「血液の中に糖分がたくさんありますよ!」というインスリンメールを受け取ると、この糖分吸い込み装置が細胞の表面に配備されます。その結果、血液の中の糖分が筋肉や脂肪の中に吸い込まれるのです。

だいたい事情がわかってきたとおもいます。

糖尿病や肥満に対する運動の効果は、筋肉の中の糖分吸い込み装置の数を増やすことです。筋肉の糖分吸い込み装置が多くなれば、同じカロリーの食事をしてもよりたくさんの糖分が筋肉に吸い込まれて、その結果脂肪に吸い込まれる量が少なくなります。
逆に運動をしないと、筋肉の中の糖分吸い込み装置が少なくなります。すると筋肉に吸い込まれる量が減るため、その分より多くの糖分が脂肪細胞に吸い込まれて脂肪に変換されてしまいます。さらに筋肉の中の糖分吸い込み装置が少なくなってくると、筋肉細胞と脂肪細胞の中の糖分吸い込み装置の合計が不足してしまいます。その結果糖分が吸い込まれにくくなるため、同じ量のインスリンが分泌されても血糖値が下がりにくくなります。そうなると同じカロリーの食事をしても、よりたくさんのインスリンが分泌されてしまいます(インスリン感受性の低下=インスリン抵抗性といいます)。これがメタボや糖尿病の始まりです。

では、どのように運動すればよいのでしょうか?

その3
で説明します。


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